虫歯は、ミュータンス菌などの細菌がつくり出す酸によって、歯の成分が溶解し、虫歯菌が歯質内に侵入することで発生する感染症です。 歯垢と呼ばれるバイオフィルム内に生息するこれらの細菌は、糖をエネルギー源として酸を産生し、歯の脱灰を引き起こします。 初期の虫歯は自覚症状がないことも多いですが、進行すると歯の痛みや、歯が欠けるなどの症状が現れます。
ダイアグノデントペンとは、レーザー光を使って、虫歯の進行程度を数値に置き換えることのできる装置のことです。初期の虫歯に有効的な方法です。 視診や触診、レントゲン診断と合わせて使用することで、「治療が必要な状態」、「進行状況に合わせて管理する治療」など、より適切な治療計画を立てることができます。
ダイアグノデントペンは、歯面にレーザー光を照射して蛍光反応を測定します。健康な歯質は数値が低く、虫歯の場合は高い数値が表示されます。
歯に沿ってレーザー光を照射するため、痛みはありません。そのため、小さなお子様や妊娠中の方にも安心して使用できるのも特徴です。
虫歯の進行度と症状は次の通りです。
虫歯初期の段階で穴は空いている状態です。この段階で自覚症状はほとんどありません。
歯の表面の硬い部分であるエナメル質が溶けて、歯の溝が黒く変色し、範囲が広がっています。冷たいものを飲んだり食べたりするとしみることもありますが、通常は強い痛みはありません。
歯の表面を覆っているエナメル質が溶けてしまい、その下の象牙質という部分がむき出しになっています。象牙質は外からの刺激に敏感なので、冷たいものや熱いものがしみるなどの症状が出やすくなります。
虫歯が進行して歯の神経にまで達した重度の状態です。強いズキズキとした痛みが生じ、日常生活に支障をきたすこともあります。
虫歯が神経にまで達し、神経が腐敗した状態です。最も深刻な段階で、ここまで進行すると神経が死んでいるため、痛みを感じなくなることが特徴です。
歯の根っこの中に細菌が入り込んでしまい、歯の根っこが感染している状態を治療する方法です。 歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)を使って、歯の根っこの細かな部分を拡大して見ながら、専用の器具で感染した部分をきれいに掃除します。 その後、歯の根っこを特殊な材料でしっかりと封鎖し、再感染を防ぎます。
抜髄とは、歯髄炎(しずいえん)を起こした歯髄を取り除く根管治療です。歯髄は一般に「歯の神経」と呼ばれ、神経線維と血管から構成されています。虫歯や不正咬合(かみ合わせの悪さ)、知覚過敏などが原因で歯髄に継続的な刺激が加わると、歯髄炎が発生し、激しい歯痛が引き起こされます。
抜髄とは、このような歯痛やその他の症状を改善するために、炎症を起こした歯髄を除去する根管治療のことを指します。
歯髄炎が進行すると、歯髄が壊死し、歯根の先に膿が溜まってきます。この状態では、壊死して腐敗した歯髄や、その周囲の汚れた歯根をきれいにしなければ、膿がなくなることはありません。
感染根管治療を行い、汚れを徹底的に除去することで、溜まっていた膿は自然と消失します。
以前に根管治療を受けた歯に再び炎症が生じた際に行う治療です。これは、前回の治療後に歯根内に残った細菌が繁殖して炎症を引き起こしている状態です。
再治療では、前回の治療で詰めた詰め物や細菌をすべて除去し、根管内を再び徹底的に清掃・消毒して、再感染を防ぎます。
上記の根管治療でも改善しなかった場合には、「外科的根管治療」が行われます。この治療では、通常、歯肉を切開して感染した病巣を直接取り除く方法です。歯根の先端部分の感染部位を切除し、再感染のリスクを減らすために徹底的に清掃・消毒を行います。
歯周病は、歯周病菌が歯と歯茎の隙間に侵入し、進行すると歯を支える歯槽骨(しそうこつ)まで達して骨を溶かしてしまう病気です。この状態を放置すると、歯槽骨が減少し、歯が健康であっても支えきれずに抜けてしまうことがあります。現在では、成人の約8割が歯周病を抱えているといわれており、加齢とともに進行しやすいため、早期発見と治療が非常に重要です。
歯茎が赤く腫れ、歯磨き時に出血することがありますが、自覚症状は少ないことが特徴です。歯周ポケットと呼ばれる、歯と歯茎の間の隙間が2~3mm程度できている状態です。このポケットに歯垢がたまりやすく、放置すると歯周病に進行する可能性があります。
しかし、この段階であれば、歯石の除去やポケット内の清掃を行うことで、歯周組織の破壊を食い止め、元の健康な状態に戻すことができます。
歯茎の炎症が歯を支えている骨や歯根膜まで広がり、歯周組織の破壊が進行してる状態です。歯周ポケットが深くなっているため、歯がグラグラしたり、浮いたように感じたりすることがあります。この状態を放置すると、歯を失う可能性が高まります。
歯周ポケット内の歯石や歯垢を専門的な器具で除去する「スケーリング」という治療を行うことで、歯周組織の破壊を食い止め、歯を残すことができる可能性があります。
歯を支えている歯槽骨がほとんど吸収され、歯が動揺し、抜ける寸前です。歯肉は著しく炎症を起こし、歯周ポケットは6mm以上と深くなっています。歯根が露出しており、歯根膜が破綻している場合もあります。この状態では、歯周基本治療に加え、歯周外科手術が必要となりますが、歯を残すことが困難な場合もあります。
日頃から丁寧な口腔ケアを行い、定期的な歯科検診を受けることで、歯周病の重症化を防ぐことができます。
当院では、虫歯や歯周病を予防し、生涯にわたりご自身の歯で健康な生活を送っていただくために、予防治療に力を入れています。
毎日の歯磨きだけでは除去できない歯垢や歯石を、歯科医院で専用の器具を用いて徹底的に除去するプロフェッショナルクリーニングを行うことで、虫歯や歯周病のリスクを大幅に低減できます。
さらに、フッ素塗布やシーラントなどの予防処置を組み合わせることで、より効果的な予防が可能です。
歯科医師や歯科衛生士などの専門家によるプロフェッショナルクリーニングです。
歯科用スケーラーや超音波スケーラーといった専用の器具を用いて、歯の表面だけでなく、歯周ポケット内の歯石やバイオフィルムを徹底的に除去します。これにより、歯磨きだけでは除去できない頑固な着色や歯垢を効果的に取り除き、歯の表面を滑沢にします。また、歯周病の原因となる歯周ポケット内の細菌を減らし、歯周病予防にも繋がります。
タバコのヤニで黄ばんでしまった歯も、歯科医院でのクリーニングで白くすることができます。 歯の表面についた頑固なヤニや歯垢を、専用の器具を使って丁寧に除去する治療をスケーリングといいます。
定期的なスケーリングを受けることで、虫歯や口臭予防にもつながり、より健康な口腔環境を保てます。
歯にフッ素を塗ることで、歯を虫歯から守るバリアを張ることができます。フッ素は歯を強くし、虫歯菌の攻撃から歯を守ってくれます。定期的にフッ素塗布を行うことで、より効果的に虫歯予防ができます。
お子様の歯には、食べ物が残りやすい溝がたくさんあります。この溝に食べ物が残ると、虫歯になりやすくなってしまいます。シーラントは、この溝をプラスチックで埋め、虫歯から守ります。乳歯から永久歯に生え変わる時期のお子様に特におすすめです。
お口の中の細菌の種類や数を調べ、普段の食事などを教えていただくことで、虫歯になりやすいリスクを詳しく知ることができます。その結果をもとに、一人ひとりに合った虫歯予防の方法をご提案します。